豪ドル/円相場は、77円水準まで値位置を切り下げている。リスク回避の流れが加速する中、米雇用統計発表直後には一時74.48円まで豪ドル安・円高が進行した。ただ、その後はリスクマーケットの急落傾向が一服したことで、豪ドル相場も下げ一服となっている。引き続き、リスク投資の地合が重視されていることが確認できる。6月5日にはオーストラリア準備銀行(豪中央銀行、RBA)金融政策決定会合が開催され、0.25%の利下げが決定されたが、マーケットの反応は限定的だった。
RBA政策会合であるが、政策金利を0.25%引き下げ3.50%とすることが決定された。マーケットでは0.50%の大幅利下げの可能性も指摘されていたが、政策対応のカードを残しておくことが優先された模様だ。スティーブンス総裁は、「最近の指標は欧州情勢の更なる悪化と中国の一段の成長鈍化を示唆している」と指摘した上で、「現在のインフレ見通しは金融政策に一段の緩和余地を与えるものだと判断した」と、追加緩和の可能性も排除しない姿勢を明らかにしている。これで4月の0.50%に続いて2ヶ月連続の利下げになるが、マーケットでは予測されていた範囲内の動きと冷静に評価されている。引き続き、金融政策環境よりもリスク投資の地合が重視される相場環境になっている。
欧州情勢に関しては、主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁の電話会談が実施された。スペインとギリシャ問題への協調対応で合意したが、特に具体的な動きは出てきていない。銀行システムの建て直しに向けた支援網の構築、ユーロ共同債創設による資金調達コストの低下などの対応策が浮上していることは評価できるが、リスクマーケットの地合改善は先送りされている。RBAの利下げ余地、リスク投資の地合を考慮すれば、過熱感が強いながらも豪ドルの戻り売り優勢の展開を想定せざるを得ない。自律反発局面は、引き続き売り込んでいきたい。
今後1週間の予想レンジは、74.00~78.00円。